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第33話 黙っていたのに評価された

Author: 八月 猫
last update publish date: 2026-07-15 09:00:51

 家柄を聞かれた件が終わってから、私は方針を決めた。

 余計なことはしない。

 玲央さんの隣に立つ。

 紹介されたら笑顔で挨拶する。

 それ以外は、できるだけ静かにしている。

 完璧だ。

 この会場には、経営者も投資家も文化事業の関係者もいるらしい。

 私が何か気の利いた話をする必要はない。

 むしろ下手に喋らない方が安全だ。

 玲央さんが年配の男性二人と話し始めたので、私は半歩後ろへ下がった。

 邪魔にならない位置。

 話しかけられにくい距離。

 できればこのまま壁紙になりたい。

「朝比奈さんは退屈ではありませんか?」

 失敗した。

 声をかけてきたのは、品のいいグレーのドレスを着た女性だった。

「いえ。皆様のお話を伺っているだけでも勉強になります」

 無難。

 我ながら無難だ。

 女性は微笑み、玲央さんたちが話して

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